まだある時間を持て余すも、使い切るも、そのひと次第。それぞれの人生。
いや・・・人間でも動物でもないのですが、物だって使えるならばどうにかその用途を全うしたいはずなのです。（そう思いたい）

この家、なんと1960年生まれの御年56歳！築56年の大先輩の大ベテラン。
その上、土地の一部が借地ときたら、お手上げでしょうか？答えは「いいえ」です。

住居として誕生し、これまで幾くつもの家族を雨風から守り、笑顔やいざこざも見守ってきたはずです。
それなのに、やや古いからもう終わりとか、ガタがきているから造り直すなんて、あまりにも味気なさすぎるってもんです。

「もったいない」の国であるはずなのに、こと建築に関しては「古さ」や「歴史」「風合い」や「趣き」が諸外国よりも軽視される風潮があるのは気のせいでしょうか？
使えるならば、とことん使いましょうよ。駐留米軍の為に一斉建築されたいわゆる外人住宅のしかくい箱のような家は、紛れもなく沖縄の歴史の一部。サブカルチャーではなく、立派なカルチャーです。

おまけに、パイプライン沿に立地しているまさしく外人住宅の名残でもあります。

この度、1年近くかけてフルリフォームされた外人住宅が売りに出たと聞きつけ、ここにご紹介いたします。
場所は、宜野湾市の大山。国道58号線と並行して走るくねくねした通称「パイプライン」沿の建物。

正直、相当年季が入ったこの空き家が気になっていたんです。
そうこうしているうちに、大規模な改装工事が始まり、いつ終わるか見守ること半年以上。屋根、壁、床のぐるりをコンクリートの補修・補強から始まり、いろんな業者が出入りしているのも見かけました。
ようやく完了した建物は、まぁ立派な3LDKとして蘇っています。室内は新築の平屋のような仕上りです。

キッチンやトイレ・シャワー・洗面台・照明器具などの全設備は新品に入れ替わり、バスルームはタイルのバスタブが撤去されシャワーブースへ。外人住宅特有の勝手口を兼ねたユーティリティー（家事室）は、洗濯室と洗面台が持ち込まれ、単独でトイレを設置。
当時の名残といえば、クローゼットはそのまま利用し、湿気のこもる引き戸は撤去され、ハンガーパイプが見えるオープンなつくり。さすがに、窓サッシはそのままですが、開閉に不具合はありません。

強いて言うなれば、結構交通量のあるパイプライン沿いのため、交通音は否めません。さらに、上空を米軍機が飛来する地域でもありますが、それはもはや外人住宅では珍しくありません。
この建物の、建物としてのラストスパートに付き合ってみようかな？と思えるような方、どうぞお問い合わせくださいませ！

（text：たくし）