激動の昭和が終焉(しゅうえん)を目前にした1988年
沖縄の地域主義モダニズム建築の余韻を残した時代の分譲マンションのお部屋をご案内いたします。

建物は正面通りと裏通りとの高低差（推定10ｍ）を活かして、各戸をひな壇場に配置しています。
28年の経過と共に浸食されたコンクリートと、うっそうとした緑とが一体化したことも手伝って丘のような面持ち。

西側のテラスにはそれぞれのお部屋に植物や謎の小屋までも増殖されていてカオス感は満載。少々異彩を放っておいでです。

1階の駐車スペースから外階段を上がっていく途中の門扉内には、手入れされた植物がお出迎え。
自由気味に暮らす住人の姿がうかがえホッコリします。

今回ご案内するお部屋は、4層分の階段を上がりきった最終地点にございます。

玄関から続く廊下にはトイレと浴室の扉が面し、深みのある赤い扉の丸い握り玉のドアノブがかわいらしく、扉上のガラスから漏れる明かりが廊下の天井に広がり暖かな印象。
個室はルーバー窓が多用され、ちょっと変わった雰囲気の窓辺。襖が壁一面を閉めるほど幅広で、時を重ねた木材が飴色に変化した具合もどこか懐かしく親しみやすかったり。ほんのりカーキ色の凹凸天井も趣があり。
どれもなんだかとても愛らしく居心地がいいのです。

西側の広いテラスは、半分は芝張りという珍しい形状。小さな木を植えられる花壇もございます。

場所は、島袋小学校と市営団地の間に位置し、開発されていないのどかな住宅地。近隣には島袋幼稚園、諸見里公園もございます。
車の行き来ができない程細道や、急な坂道の通行が必須となります。
イオンライカムには程近いのですが、用事のある方しか通らないマニアックな場所でもあります。

ガス管と給湯配管がリフォームされ、剥き出しの部分がございます。
システムキッチンのガスコンロもオリジナルではございません。築28年･･･設備部分の経年劣化は否めません。
また、駐車スペースは幅２ｍ/奥行き５ｍ/高さ1.78ｍのため、大きさに制限がございます。
外階段には手摺が片側しかないため、小さいお子さん連れやお体にご負担ある方は不便を感じるかもしれません。

でもでも、モコモコな緑の新鮮な空気を感じながら「いってまいりまぁーす！」と下りていく外階段は楽しい一日を予感させてくれます。

text：おろく