file:18「息づく家」黒猫食堂さんの場合

【入居者データ】

入居者/越名さん、クリスさん
所在地/沖縄県那覇市首里赤平町2-40-1 3F
用途/住居件飲食店
職業/シェフと焙煎士
趣味/越名さん:料理、かぎ編み、何でも作る事
クリスさん:ギター、PC音楽作成、格闘技
●http://shokudoukuroneko.ti-da.net/
●https://www.facebook.com/ShokudouKuroNeko

【物件の用途】

店舗の部分は、一言でいうと「食堂」です。私達の思う(オーストラリア)メルボルンのカフェと日本のカフェは全く違うんです。日本のカフェと言うと、フードに力が入っていても、珈琲を自家焙煎をしている訳でもなく食事とコーヒーがセットで出てくるみたいな感じか、スペシャリティにしているのはコーヒーだけだったり。メルボルンのカフェはシェフが料理をつくり、バリスタと焙煎士がいてコーヒーを提供しているですよね。だから、メルボルンのカフェはプロが作った完成された食事とプロが抽出した珈琲を飲める場なんです。私達は、日本のカフェをイメージされると嫌って言うのもあるし、メルボルンのカフェの様にレストランでもなくカフェでもない。完成されているけれども高級過ぎないっていう位置づけなんです。

【引っ越し前の経歴や経験】

●越名さん/メルボルンにいた丸7年料理をしていました。通っていた学校はメルボルン一厳しくて、資格をとるには料理の勉強をしながら現地のレストランで働かないといけなくて。アジア人だからアジア圏のレストランで働いちゃだめってことで、はじめはフレンチで働き、イタリアンへ行って、いろいろな国の影響を受けたヒュージョン料理をして、高級フレンチに戻って。レストランはカフェが持っていないような調理機器を持っているし、いろんな食材が使える。技術を学ぶために5年間はファインダイニングで修行して、あとの2年は有名なカフェで働いてました。半年ぐらいで学んだらまた次!みたいな感じでいつも履歴書持ってレストランまわって、7年で合計13ヶ所で働きました。

●クリスさん/メルボルンの大学で心理学を専攻していました。育った環境には昔から珈琲が身近にあって、焙煎士の友人もいたし、話を聞いたり、焙煎の指導を受けたりして珈琲を理解出来るようになっていました。メルボルンでは焙煎屋さんが大きなカフェを経営しているので、いきなり抽出の無料レクチャーが始まったり、カッピングやテイスティングも無料でやっていたりするんです。いろんなカフェがあるので何件もカフェをまわっていろいろとお話をして、自然と学べる環境でした。

【沖縄へ移住の理由、どうして沖縄へ?】

私(越名さん)の出身は大阪です。
10年前に出会った当時彼(クリスさん)は日本の大学へ留学で来ていたんです。その後、一緒にメルボルンで7年間暮らしたんだけど、彼にはずっと日本に戻りたいという意思があって。

日本に戻ったらカフェをしたいと考えたんですけど、生活のペースなどが大阪や東京では早い人が多いから、沖縄の方がメルボルンに似ているんですよね。こういう新しい事を始めるのも、メニューが珍しすぎるので、客数だけで稼ぐと、お客様に伝えられないまま終わる感じになってしまう。お客様と関わりながらちゃんとメルボルンを伝えていけるのはこのスピード(リズム)。沖縄の方はドライブしてでも美味しいところに食べに出かけるっていう習慣が既にあるというのはメルボルンと一緒。2年前に初めて沖縄に市場調査で来た時、カフェでゆっくり食べたり飲んだりの文化があるのが一番でした。リズムもそうだけど売上げないといけないから、その文化があって、きちんと伝えて行けるチャンスがないと意味がないので。メルボルンの人と同じ血が流れているんだと思う(笑)

【物件契約までの道のり】

1年ぐらいずっとオーストラリアからネット「うちな〜らいふ」で探していました。ディ・スペックさんはその前から「沖縄レトロ」とか「沖縄古民家」って入れると出てきて、見ていました。
「うちな〜らいふ」は毎日5~6件は更新されるので何百という物件を端から端まで見て「まだこれあるね」とか、多分不動産屋さんより物件を知っていると思います(笑)
まず物件を見つけたら写真を見て、グーグルマップで環境を見て、近くの駐車場とかも調べて、その駐車場も借りるかもしれないとか、一応話の流れも考えておいて。
問合せて、店舗にしたいとか、ペット飼いたいって言ったら保証金がいくらとかどんどん賃料が跳ね上がって足元見られたりと言うこともありました。

実際にここを見たのは、ここを借りて沖縄へ来てから初めて。それまではずーっと遠隔で・・もうね、滅入るぐらいこの物件にはすごい時間をかけて、毎日メールでやりとりしました。ほかの物件ではここまで繋がらなかった。「なんか違うんだよね」みたいな感じで。最初はこの物件は住居募集だったので(ディ・スペックに)飲食店を断られて。。。他で決めようとして返事をしなきゃいけない直前に、どうしてもここを諦めきれなくて、もう一回ディ・スペックにトライしたら大家さんに(店舗利用)承諾いただけて。決まりかけていた別の物件を断って、ここに決めました。

【物件の決め手】

街の中だけど後ろは公園だし、景色はいいし、メインストリートじゃないし。隠れ家的、自分しか知らない見つけた感、ぐっと掴むような要素がここにはある。シティにありながら緑もあって、この景色。
代理で沖縄の友達が見学して、その子が写真を撮って、ビデオを撮って、周りを車で走って、こうだった、ああだったとレポートをまとめてくれたものを見て。やっぱりそうだ!思っていたとおりだ!間違いないここだ!と思った。

【メリット】

メリットは・・・全部。キッチン側のベランダはゴミとかも置けるし、洗濯物も常に干せるし、蛇口や照明の位置もベランダを楽しめるように考えられているし。必要な位置に必要な物があるんです。フックとか「あ、あるほどな〜。要るもんな、要る、要る!」って。
ガレージもあるし、風通りも良いし、収納もあってスペースも使いやすい。お陰で、あまり何もしなくていい。オーナーの思いも伝わってくるし、彼らがまた戻って来れるように、このキャラクターを残したい。
あと、ここ住むだけで癒される。海に行くとかではなくて、海を見渡せるっていうこの感じは、本当に好きな人であればどれだけでもお金を出せると思う。本当に全部がちょうどいい。ちょっと緑が入っている、首里城も見えて、上階がないので空が近いし。

【デメリット】

うーん・・・湿気ぐらい?(笑)オーストラリアが乾燥しているので、異常なまでの湿気に最初ビックリして湿気取りをものすごい買って、それを取り替えるのが面倒くさい(笑)
(夕方の西陽は)すんごい入ってくるけど、そん頃はもう閉店でお客様はいないし、それをデメリットには感じない。

【住み心地】

良いよね。オープンしたてなので忙しいですけどのんびり沖縄満喫はできてないけど。疲れていたり、苦労している時でも、この景色を見て癒される。

【お気に入りのポイント・インテリア】

全部。しいて言うなら焙煎機プラス景色。こっちから見た焙煎機を入れた景色。あと、これは近くの中学校から頂いたもので「廃棄になってる学童机、椅子、もしあれば理科室や図工室の椅子が欲しい」と問合せたら「見に来られますか?」って言われて。ちょうど廃棄するために集められていた山の中から曲がっていたり折れたりしていない使える物を頂きました。クリスが天板や座面板を取り外して、研磨しなおしたり、新しい板に取替えたりしました。

【改装内容や費用など】

元々あったキッチンは大家さんに確認を取って、廃棄しました。ただ、深くて使い良さそうだったシンク部分はもったいないので、取り外してキープしてあります。いつかお店をしたいというのがあったのでずっと集めていたものが多くて、このカウンターは始めからイメージしていたんです。業務用キッチンは全部新品。中古も見たけど、値段は一緒ぐらいだったので新しい方がいいって買いました。昔からリースとか、お金を借りるのは好きじゃない・・・・。玄関の網戸はクリスの手作りで、エアコンはあまり好きじゃないから営業中はドアを開けて風を通してます。

【ディ・スペックに思うこと】

この物件になんとか繋げてくれて「ありがとう」ですよね。
過去に皆さんが言っているように、おもしろい物件をたくさん持っていて、それを活かすというか、魅力的に見せているからそれに引っかかったんですよね。お店づくりと一緒で、売り出す時にコンセプトがないと魅力がぼやけると言うか。
その魅力を知って、それに合った言葉を選んでサイトに載せるって事は大事。好きな人が集まってやっているんだろうなって感じや建物を大事にしているのは伝わるので、そのまま続けていって欲しい。